姫王と最後の騎士団におけるノスタルジーの理由

姫王と最後の騎士団は素晴らしいスマートフォンゲームだと思います。

キャラクターデザインも舞台設定も、ゲーム性も、王道RPGと呼ぶに相応しいハイクオリティを誇っており、古くからのゲームファンも、新しいゲームファンも、等しく魅了するであろうことは間違いありません。

2015年は高品質なスマホゲームが軒並み発売された年でありましたが、そのなかにあっても、姫王と最後の騎士団はトップクラスの人気を得ることに成功しました。それもこれも、ひとえにこのゲームが、高い誇りを持って制作されたものであるからということは言うに及びません。

ところで、姫王と最後の騎士団において私が気になっているのは、その背景となる風景のモデルです。どことなく見覚えのある風景が展開されています。かつて私が旅したことのある風景をやんわりと想起させます。

それは、ネパールのエベレスト街道です。物語の序盤、姫王は雄大な山容に囲まれた山村に立ち寄ります。その際の背景絵が、私にはエベレスト街道に佇む山村・ナムチェバザールに見えてほかならないのです。してみると、姫王が騎士たちと共に誓いの言葉を詠唱した独立峰は、あのアマダブラムということになるのでしょうか?

エベレスト街道があるクンブー地方では、母の首飾りと呼ばれ敬われているアマダブラムですが、姫王と最後の騎士団は、この名峰の麓で世界平和の祈りを捧げることとなるのです。

その幽玄さは、このゲーム序盤におけるハイライトと言ってもよいほどで、このゲームをプレイした者に強烈な印象を残したはずです。

また、姫王が従者を看取った場面では、白銀の山容が後景に描かれていますが、あれはまさしくカンチェンジュンガではありませんか。かつて私がインドのダージリンを旅したとき、タイガーヒルズから眺めた山容とそっくりです。

世界第三位の高山を登場させるとは、なんとも心憎い演出です。こんな工夫を随所に織り込んだ姫王と最後の騎士団は、私にとってメモリアルなスマートフォンゲームとなることは間違いなさそうです。